原価低減 その4 購買原低

 製造業においては材料費が原価に占める比率で最も大きいものなので、原価の改善を考えるとき、材料費の低減がまず取りざたされますが、人が行う業務では工数削減などの効率化が出来るものの材料費は実態のあるモノなので、なかなか削減は難しいです。その材料費を低減する方策の一つが購買原低となります。

 原価低減については以前、設計VAのことを書きましたが、設計VAは連続的に大量生産する製品の場合でも、個別仕様の製品や特注品でも、設計の知恵によってコストを下げることが可能です。しかし、購買原低の場合はある程度の量や期間で生産される製品でなければ購入コストを下げる方策は限られてしまうでしょう。

 ここではある程度継続的に部品や資材を購入しているケースを想定して書いていきます。そうではなく、スポット的に購入されているケースでは、その時々の為替や需給状況を基にした交渉で価格が決まると思いますので、原価低減というよりも価格交渉が重要になります。このことはまた別の機会として、今回は継続的な購入を行っている場合の原価低減方法について焦点を当てます。

 購買原低を行う場合、当然サプライヤさんとの交渉ということになりますが、初めに言っておきますと、取引上の優位性を利用して無理な要求を行うことなどは下請け法で禁じられています。コストダウン要求においては、理由の明確化、協議による合理性ある合意、発注後の減額や指値での発注の禁止など、一定のルールを守る必要があり、違反している事実が分かると公正取引委員会から是正や勧告を受け、罰金や減額分の返還を求められますので、十分注意してください。

 そういう中で、コスト交渉にて原価を下げる方策としては、主に以下のような活動があります。

 1)数量増によるコストダウン:これはよくあることで、発注数量が増えるので納入単価を下げてほしいという交渉ですが、サプライヤも準備が必要ですから、今日言って明日から下げてというのは無理で、通常は年度ごとの全体発注量の見通しを示して翌年度の価格を決める場合が多いと思います。

 2)生産性向上によるコストダウン:製造業はどこも同じでしょうが、生産に関わる人件費がかなりの割合になりますので、生産性が上がることでコストも下げられます。この場合、一方的にサプライヤに生産性改善を求めるだけでなく、発注元も一緒になって生産性改善を行うことがポイントです。共に働き、共に改善し、そしてその成果を分け合う。このサプライヤを助ける形でコストを下げてもらうことでWin-Winの関係が構築出来るのです。

 3)サプライヤ変更:これは共通品や標準品などで同じ仕様で同じ性能のものを価格の安い他のサプライヤから購入するという単純なやり方ですが、サプライヤとの長期の信頼関係は築けないというところは気を付けなければいけません。

 4)複数社購買:同じ仕様と性能の部品を2社以上のサプライヤから並行して購入しておき、サプライヤ間で価格競争させるという方法です。もし、これまで独占的に供給していた既存のサプライヤの領域に、新たに競合するサプライヤが参入してきたら競争原理で必ず価格は下がります。また、それらのサプライヤの品質や納期遵守率などを基に発注量を調整するようなことが出来れば、コストだけでなく品質も納期も改善できることになります。

 5)設計変更によるスペック緩和:これは生産性改善の一つの方策ですが、特に部品加工をしているようなサプライヤで、寸法の公差を緩和することで生産性の向上や、スペックアウトで破棄してしまう部品が減るといった生産性の改善につながります。設計者を巻き込んで、サプライヤへ赴いて協議することが重要です。私なども、工場へお邪魔すると仕損品の廃棄箱をついつい覗いて見てしまいます。不良品を作ってしまうとそれだけで無駄ですからね。

 というように、いろいろな工夫で原価を下げることが出来ると思いますが、決して買いたたきなどでコストを下げるようなことがないようにしてください。

 久保丈夫コンサルタント事務所では、原価改善のお手伝いをしています。原価低減だけでなく間接部門の生産性改善など、あらゆる費目のコストを下げることを社員の皆さんと一緒になって活動していきますので、興味を持っていただけましたらお気軽にお問い合わせください。

原価低減 その3 購買原低

 製品原価の低減策について、前回は設計VAについて書きましたが、今回は購買部門による購入単価を下げる方策について書いてみます。一般的にはCost Down、C/Dと呼ばれることですが、コスト削減を実現する方策はいろいろあります。

 製造業も様々ですから、部品や資材の購入についても様々な方法があると思いますが、マイケルポーターの競争戦略では5つの競争要因が示されており、その中に買い手の交渉力と売り手の交渉力ということが挙げられています。つまり、売り手と買い手の力関係で価格が決まるということになりますが、その背景には売り手買い手双方が持つ様々な要因が絡んでいるということを言っています。

 学者先生のお話であれば、そのあたりのことを分析して論理的な話にまとめれば良いのでしょうが、我々現実のビジネスに携わっているものにとっては、そんなことよりも結果が大事です。力関係が弱いので高く買っています、ではビジネスに負けてしまいますよね。弱い立場であっても、少しでも安く購入することを考えなければなりません。

 一般的には買い手の方が力関係は強いので、企業の購買部門はそれを利用していかに安く仕入れるかに知恵を絞っていると思います。例外的には、独占的に販売しているものを購入させていただくとか、需要がひっ迫しているものを少しでも売っていただきたい、というようなシチュエーションがあります。半導体などは奪い合い状態で手に入れるのが難しいものもありましたが、このような状況において打てる手は、長期的な見通しをもって交渉することが一番だと思います。

 売り手としても安定的な顧客の獲得はメリットがありますので、たとえ少量でも継続的に購入してくれる顧客はありがたいものです。更に、お互いの業界やマーケットの情報交換を行い先々の需要を伝えて予約できるような関係を構築できるように会社のトップ同士での情報交換会などが開催できれば信頼関係も構築出来て、安定的に購入できる状態に持ち込めるでしょう。

 今回は購入価格を下げるお話を書き始めたのですが、特殊な例の話が長くなってしまいました。また次回、購買による原低方法について書きたいと思います。

 久保丈夫コンサルティング事務所では、原価低減策についての指導や実地での活動支援を行っておりますので、ご興味おありでしたらお気軽にご相談ください。

原価低減 その2 設計VA

 製品の原価のうち最も構成比率が高いのが材料費です。原価の資料を見るとどうしてもこの部分のコストを下げたくなるものですが、なかなか難しいものがあります。それらにどう取り組んでいるか、その実例を交えてご紹介します。

 材料費は製品を構成する部品のコストですから、削減するには二つの方策しかありません。 一つは使う部品を減らすこと、もう一つは購入単価を下げることです。前者は設計部門が担当で、後者は購買部門が担当することになります。

 設計が行うコスト削減活動は設計VAと言われます。VAはValue Analysisの略で、直訳すれば価値の分析ということになるでしょうか。では、その価値とは何かというと、機能を実現することではないかと考えます。製品に求められる機能を如何に実現するか、それを考えるところに価値が生まれるということでしょう。考えるのは主に設計者ですから、人によって考え方が違うこともあるでしょうから実現方法は一つではなく複数あってもよいはずです。そこに設計VAを取り組み余地があるということです。

 現実にはどのようなことが行われるかというと、大きく3つあります。

・一つは部品や材料の置き換えです。今使っているものと同じ機能と性能でコストが安いものがあれば置き換えることでコスト削減になります。標準的な部品や材料であれば別のメーカー製の方が安いということもあります。

・二つ目は、設計の見直しで異なる実現方法を採用することです。例えば、3つの部品で構成されていたものを2つの部品で実現できるようにすることでコストを下げることが出来ます。あるいは、電気回路などでは念のため入れている抵抗やコンデンサがあったりしますので、それらを見直すことも有り得ます。

・三つめはスペックの見直しです。いわゆるオーバースペックであると製品コストは高くなりがちですので、求められる機能を実現できる最低限のスペックで良しとすることでコストを下げられることがあります。例えば、加工部品の場合、図面上で指示している誤差が厳しすぎると加工時間が長くなったり、スペックアウトで不良品が出たりしますので、その指定する誤差を緩和することでコストを下げられる場合があります。

 以上、今回は設計VAの実例をご紹介しましたが、次回は購買のコストダウン(C/D)について書こうかと思います。

 久保丈夫コンサルティング事務所では、各種の原価低減活動を直接ご指導いたしますので、ご興味を持っていただけましたら、お気軽にご相談ください。

原価低減を進める

 より多くの利益を出すための方策は2つだけです。一つは売上を上げること、もう一つは原価を下げることです。きわめて単純、簡単なロジックですが、それを実現するのは大変なことで、企業様は日々努力を重ねていると思います。その原価低減の進め方の実例を紹介します。

 製品の原価を下げることは製造業にとって生命線ともいえる重要な活動です。そのため、各企業様とも様々な取り組みをしているかと思いますが、私の経験をこれから少しずつ、このブログで順次ご紹介していきたいと思います。

 原価低減を始めるには、まず、原価の構成を知るところからです。製造業であれば原価構成比が一番高いのは材料費だと思います。恐らくどの企業様も販売原価の40%から60%程度が材料費になるのではないでしょうか。比率が大きいところであるから原価を下げやすいところではありますが、製品を構成する材料ですので、なかなか難しい部分はあります。

 次は加工費でしょうか。生産工程で発生するコストですが、人件費が大きな比率を占めると思います。これは生産性改善や工程改善、自動化などで原価を下げる工夫がされていると思います。また、外注化というようなことでコストを下げる工夫をされている企業様も多いかと思います。

 その他の生産に関わるコストで低減が可能なのは、物流費や不良廃却費でしょうか。これらについても改善や最適な方法が模索されているでしょう。一方で削減が出来ないのは償却費です。これは設備や金型の減価償却ですので、ある意味でサンクコストで低減を考えてもしょうがないということですね。

 製品原価として捉えると、上記の直接原価に加えて間接原価と言われる、間接部門の経費や販売管理費が上乗せされることになります。この部分は、間接部門の生産性向上を進めることになりますが、企業業績が悪くなるといきなり人員カットなんてことも行われてしまいがちですが、それは最終的な手段で私は考慮していません。 

 また、原価改善を行うには各費目の現在の実績値を知ることが必要です。原価低減策を実行したとしても、その策が本当に原価を下げているのかを知るためには、数値で測る必要があり、起点となる実際原価が必要です。この実際原価の算出については、また、別なところで書きたいと思います。

 久保丈夫コンサルティング事務所では、各費目の原価低減活動をサポートするため、改善手法のセミナー開催や、実際に改善活動をお手伝いすることも行っております。原価低減をお考えの企業様で、ご興味をお持ちいただけましたらお気軽にご連絡ください。