製造業においては材料費が原価に占める比率で最も大きいものなので、原価の改善を考えるとき、材料費の低減がまず取りざたされますが、人が行う業務では工数削減などの効率化が出来るものの材料費は実態のあるモノなので、なかなか削減は難しいです。その材料費を低減する方策の一つが購買原低となります。
原価低減については以前、設計VAのことを書きましたが、設計VAは連続的に大量生産する製品の場合でも、個別仕様の製品や特注品でも、設計の知恵によってコストを下げることが可能です。しかし、購買原低の場合はある程度の量や期間で生産される製品でなければ購入コストを下げる方策は限られてしまうでしょう。
ここではある程度継続的に部品や資材を購入しているケースを想定して書いていきます。そうではなく、スポット的に購入されているケースでは、その時々の為替や需給状況を基にした交渉で価格が決まると思いますので、原価低減というよりも価格交渉が重要になります。このことはまた別の機会として、今回は継続的な購入を行っている場合の原価低減方法について焦点を当てます。
購買原低を行う場合、当然サプライヤさんとの交渉ということになりますが、初めに言っておきますと、取引上の優位性を利用して無理な要求を行うことなどは下請け法で禁じられています。コストダウン要求においては、理由の明確化、協議による合理性ある合意、発注後の減額や指値での発注の禁止など、一定のルールを守る必要があり、違反している事実が分かると公正取引委員会から是正や勧告を受け、罰金や減額分の返還を求められますので、十分注意してください。
そういう中で、コスト交渉にて原価を下げる方策としては、主に以下のような活動があります。
1)数量増によるコストダウン:これはよくあることで、発注数量が増えるので納入単価を下げてほしいという交渉ですが、サプライヤも準備が必要ですから、今日言って明日から下げてというのは無理で、通常は年度ごとの全体発注量の見通しを示して翌年度の価格を決める場合が多いと思います。
2)生産性向上によるコストダウン:製造業はどこも同じでしょうが、生産に関わる人件費がかなりの割合になりますので、生産性が上がることでコストも下げられます。この場合、一方的にサプライヤに生産性改善を求めるだけでなく、発注元も一緒になって生産性改善を行うことがポイントです。共に働き、共に改善し、そしてその成果を分け合う。このサプライヤを助ける形でコストを下げてもらうことでWin-Winの関係が構築出来るのです。
3)サプライヤ変更:これは共通品や標準品などで同じ仕様で同じ性能のものを価格の安い他のサプライヤから購入するという単純なやり方ですが、サプライヤとの長期の信頼関係は築けないというところは気を付けなければいけません。
4)複数社購買:同じ仕様と性能の部品を2社以上のサプライヤから並行して購入しておき、サプライヤ間で価格競争させるという方法です。もし、これまで独占的に供給していた既存のサプライヤの領域に、新たに競合するサプライヤが参入してきたら競争原理で必ず価格は下がります。また、それらのサプライヤの品質や納期遵守率などを基に発注量を調整するようなことが出来れば、コストだけでなく品質も納期も改善できることになります。
5)設計変更によるスペック緩和:これは生産性改善の一つの方策ですが、特に部品加工をしているようなサプライヤで、寸法の公差を緩和することで生産性の向上や、スペックアウトで破棄してしまう部品が減るといった生産性の改善につながります。設計者を巻き込んで、サプライヤへ赴いて協議することが重要です。私なども、工場へお邪魔すると仕損品の廃棄箱をついつい覗いて見てしまいます。不良品を作ってしまうとそれだけで無駄ですからね。
というように、いろいろな工夫で原価を下げることが出来ると思いますが、決して買いたたきなどでコストを下げるようなことがないようにしてください。
久保丈夫コンサルタント事務所では、原価改善のお手伝いをしています。原価低減だけでなく間接部門の生産性改善など、あらゆる費目のコストを下げることを社員の皆さんと一緒になって活動していきますので、興味を持っていただけましたらお気軽にお問い合わせください。